社会の深海魚たち、ディズニー行って窒息【たらい回し人生相談】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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社会の深海魚たち、ディズニー行って窒息【たらい回し人生相談】

【たらい回し人生相談】〜ヤバいやつがもっとヤバいやつに訊く〜 連載第10回

 

■ベイ司教誕生:

 さて、一行はショップに連れていかれた。

 そこはいわば耳屋だった。耳を売っている。ランドを歩いている人の多くが頭部に耳を装着しているが、それを買うのだという。Rさんいわく、耳つきのヘアバンドを装着することで夢と魔法の国の一員となるのだそうだ。

 自分としては正直、お金がないので買いたくはなかった。

 

筆者:うーん自分は別に……。

Nくん:いや買わないとかあり得ないでしょ!

 

 と、強い同調圧力をかけてくるNくん。

 この日本社会がよう。

 金がないんだよ。

 日本社会はすぐにこのように皆で同じことをすることを「良いこと」としがちだが、それまでの過程や個々人の差には驚くほど無頓着だ。確かにお互いの財布にはこれを買う金があるかもしれないが、その金がある人には単に遊ぶためのお金であって、ある人には生活費であるとしたらどうだ。というかNくんも借金状態だろ。

 ……と頭の中で言いながら並ぶ耳を見ていると、その状況を見抜いたらしい大司教が「貸してもいいですよ」と言ってくる。この「貸す」というのは親切ではなく「経費にはなりませんよ」という大人語だ。ちょうど経費にならないかと言おうとしたところだったので完全に先手を打たれた。

 自分はここで断固として購入を拒否……というのも気が引けたので、妥協案としてキャップを買った。つけ耳だと園外では出番がないが、キャップなら園外でも使えるほうがいいという考えだ。ちゃんとそう考える者がいることを見越し、耳売り場の近くにはキャップが置いてある。抜け目がない。

 一方、今回の主人公である大司教はというと……。

 

大司教:どうでもいいですよ。好きにしてください。

Nくん:えー。大司教もかぶり物をかぶって夢と魔法の一員になりましょうよ。

大司教:興味はありません。みなさんが選んだものを買ってかぶります。

 

 という、すると周囲の者たちは大司教を囲み、売り場のものを試着させて遊びはじめる。「これなんかいいんじゃないですか」と筆者が手渡したのは某優しいロボット、ベイのマックスのかぶりものだ。つけ耳のようなものでなく着ぐるみに近い。

 これがまた、似合うこと似合うこと。

 もともと大司教は体形がベイのマックスにかなり似ている。全体的に大福のようなオーラを放っている。同じく大福のようなベイマックスと相性がいい。その日、大司教は淡いベージュのジャケットを着ており、カラー的にもマッチしている、読者の皆様はカラー配置が逆のエリンギを想像してほしい。だいたいそれだ。

 まさにマリアージュ、したがって即決した。

 

大司教:ベイのマックス、私は「よさベイ」しか知らないんですが(注6)。

筆者:だいたいあれで大丈夫です。

大司教:そうなんですか。

筆者:そうです。

大司教:ああいうのなんですか。

筆者:そうです。

 

 このようにしてベイ司教が誕生した。写真には著作権の都合でモザイクがかかると思うが、なんとなくニュアンスは伝わると思う。

 つづいて一行が向かうのは「でかい雷の山」また絶叫マシーンだ。殺す気か。

 順番待ちの間、近くの若い女性グループが何やらこちらを見てはしゃいでいる。見ると彼女らは大司教を見ながらクスクス笑って「すごい」などとしきりに囁いている。

 どうやらベイ司教があまりにハマっているのでウケているらしい。この先も何度か同じ光景を目にすることになる。

 

グラサンかけまくり、諸事情によりモザイクもかけまくり

 

(注6)ネットミーム「よさぬかベイマックス」の略。詳しくはググってください。

次のページ大司教、HPけずられまくる

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